門医なら誰でも、「アレルゲン発疫療法」だけが 治の望める花粉症の根治(原因)療法だと認めています。しかし、スギ花粉症は、半世紀以上前から行なわれているにもかかわらず、日本ではあまり広まっているとは言えません。その一番の理由は、治療に時間と手間のかかること以上に、これまでの治療成續が、決して褒められたものではなかったから
です。
早い話、効かない人にいくらやっても効くはずがありません。花粉症には、大きく分けてアレルゲン免疫療法で根治できる花粉症と、根治の難しい花粉症があり、これまでその区別もせずに治療していたので、成續が悪かったのです。
もうひとつは、効くだけの量のアレルゲン(エキス)を与えていなかったことで、これも成が上がらなかった原因です。じつは、必要以上のアレルゲンを与えてしまうと、命に関わる激しいアナフィラキシー発作を起こす可能性があります。そうなっても、専門家なら冷静、かつ安全に対処できますが、そんなテクニックも経験もない医師が、見よう見まねでやれば、必要以上に副作用を怖がり、少ない量のエキスしか与えないようになってしまいます。そんな少ない量では、アレルゲンに体が慣れるような変化は起こせません。
以前も、成續のいい病院はありました。治療を受ける患者さんを選定し、経験のある専門医が過剰反応を予想しながら、副作用が起こっても大丈夫な手段を用意して、治療に臨んでいたところです。つまり、この療法に関する運用の知識が、多くの病院に届いていなかったのです。
何度も言ってきたように、あなたを悩ましている花粉症という病気は、単純な病気ではありません。本体は、確かにアレルギー問題でも、悩ましている症状の全てを、アレルギーが原因で起こしている人ばかりではないからです。奥中の粘度の過さの度合いでも症状が違いますし、神経反射の強い人弱い人でも違います。精神的なストレスも大きく関わっています。東の形や、卵の病気の有無によっても症状が進むのです。
花粉症の症状は、アレルギーと神経の反射、そして好酸球など炎症細胞による粘膜の炎症で作られるものです。鼻がつまるのは本当に辛い症状ですが、「鼻づまりがひどい」と
患者さんのなかにも、アレルギー反応や炎症によって鼻がつまった人、神経の過敏性が原因の人、さらに鼻の形や病気による鼻づまりの人もいます。さらに、いくつも合併している人もけっこういて、状況をさらに複雑にしています。
診療ガイドラインでは、花粉症をまず「くしゃみ・鼻水(鼻漏)型」と「鼻詰まり(鼻閉) 型」に分け、両方の症状が同じくらいで、どちらとも言えない場合を「充全型」と言っていますが、これくらいの分類では、2,000万人もいるといわれる日本のスギ花粉症患者さんの多様性を、とてもカバーすることはできません。
このような花粉症の多様性に目を向けないで、誰でも同じ顔を持つ細な病気だと考えて、同じように治療していたから、「アレルゲン免疫援法」はあまり効果がないと言われていたのです。しかもこの旅法は、経験ある専門医が、油剤友応を予想しながら、それが起きても大丈夫な手段を用意しけ症を治したい
でも当たらなくてはなりません。そうしなければ、抗原にカラダを慣れさせるに足る、十分な量のエキスを投入できないからです。その方が他の配慮にも欠けていました。
現在のアレルゲン免疫療法の現場は遅れています。事前にきちんと検査をして、アレルギー以外のいろいろな過敏症をチェックし、神経の過敏性が主な原因という人は残念ながら除かせていただき、治療の時には、最初から最後までスタッフがついて、どんな反応が起こっても大丈夫なように準備をしています。
だから今では、治療を受けたほぼ80%の人が、鼻や目の症状が本当に楽になったと言い、その中でも3分の1の人は、ほとんどクスリなしに花粉シーズンを送ることができるようになったのです。日本医科大学のデータでは、アレルゲン免疫療法を始めて1年以上たった人が、スギ花粉の大量飛散年にがつかったときでも、60%の人が無症状、22%が軽症のまま過ごし、奥づまりなどで生活に何らかの支障が出た人は17%という成續でした。
無症状あるいは軽症という数字は、今後さらに上がっていくと思われます。免疫治療の観点でも、どんどん新しいタイプのクスリが開発されているからです。
というわけで、なぜこれまでの「アレルゲン免疫(減感作)
療法」は効かなかったのかというと、
●アレルギーのかかわりが重い過段性の強い人にも、この治療を行なっていた。つまり、効かない人にやっていた、
●実際に治療を行なっていた医師が、アレルゲンの多量の投与によるアナフィラキシー発作を怖がって、十分な量をやっておらず、体の免疫変化を起こせなかった。つまり、効かない量でやっていたからなのです。
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